介護福祉に関わる仕事

看護師さんは、病気やケガなどで入院、あるいは通院したとき、必ずお世話になる存在です。診察や治療の補助として、てきぱきと働く姿に、子どもの頃に、「看護婦さんになりたいな」と憧れた人も、少なくないのではないでしょうか。

 

看護師は、看護(ケア)のプロであり、その業務は、多忙を極めています。病院や診療所で働く場合、患者の検温、血圧測定、薬の管理、健康診断、施設外診療の補助、施設内の衛生管理など、仕事の内容は、非常に広範囲にわたっています。

 

最近では、病院や診療所に限らず、社会福祉施設などの福祉の分野からの需要も増加しているようです。社会福祉施設で働く場合、施設利用者の年齢や状態など、一人一人の身体状況や目的によって、その看護内容は変わってきます。そのため、看護師の仕事は、臨機応変な対応と、柔軟な姿勢が求められる仕事と言えます。

 

さらに、在宅ケアの需要が高まり、訪問看護師として活躍する人が増えてきています。同時に、ケアワーカー、保健師、ホームヘルパーと協力して、在宅看護サービスに従事するというスタイルも、今では定着しつつあります。

 

このように、看護師は、医療から福祉にかけて、広い分野で、ありとあらゆる立場の人々の健康保持・増進に努める役割を担っている存在です。仕事に対する情熱はもとより、体力も求められる仕事です。さらに、子ども、障害者、高齢者など、様々な人と接する機会が多いので、細やかな観察力や適切な援助をできる能力が必要とされています。看護師試験は、国家試験として、国が実施しています。毎年、2月下旬に行なわれます。試験は、筆記試験で、合格率は90%前後となっています。

核家族化が進む中で、育児経験の少ない親や、一人暮らしの高齢者が増加しています。そんな中、育児相談や、高齢者の健康管理に活躍する保健師の役割が、今、改めて注目を集めています。保健師とは、保健所や、市区町村の保健センターなどに勤務して、地域住民の健康管理や保健指導の仕事を担う専門職です。

 

保健師の仕事の場として、最も多いのは、保健所・保健センターや市区町村の役場などです。そこで、一定の区域を受け持ち、乳児検診や成人検診、予防接種や在宅患者の家庭訪問など、その区域内に暮らす住民の保健指導に従事します。その他には、病院や老人訪問看護ステーションにおいて、看護師や介護福祉士と連携して、看護活動を行なうなどの仕事もあります。また、企業において、従業員とその家族の健康管理を主な仕事とする保健師もいます。また、学校に勤務する保健師もいます。ただし、学校保健師になるには、保健師のほかに養護教諭の免許が必要です。

 

このように、保健師は、地域において、医療・福祉・教育の分野を含め、幅広く活躍する健康管理のスペシャリストです。保健師の資格を取得するには、まず、看護系の学校、養成施設などで、看護師になる勉強をして、卒業することが第一条件となります。その後、看護師国家試験に合格して、看護師免許を取得してから、保健師国家試験を受験するルート、もしくは、保健系の学校・養成施設を卒業してから、保健師国家試験を受験するルートとがあります。

 

看護職には、保健師、看護師、そして、助産師、学校の養護教諭も含まれます。看護師と保健師の主な違いは、看護師が個人を看るのに対して、保健師は、主として集団を対象にするという点です。いずれにしても看護職は、今の時代は特に、医療に限らず、福祉の分野でも必要とされる大切な職種であると言えます。

「社会福祉士」とは、福祉や介護に関連する仕事に就きたいと考えている、多くの人が取得を希望している資格です。この資格は、厚生労働大臣の指定を受けた、(財)社会福祉振興・試験センターが実施する国家試験です。福祉系大学を卒業する他、社会福祉士一般養成施設を卒業するなどすることで、受験資格を得ることができます。受験資格等の詳細については、(財)社会福祉振興・試験センターに問い合わせるか、または、ホームページなどでも確認できます。

 

社会福祉士は、専門的な知識や技術を持って、身体や精神に障害がある人、あるいは、生活環境上の理由から、日常生活を営むのに支障がある人々に対して、福祉に関する相談に応じたり、助言、指導、その他の援助活動を行なう専門職です。ただし、「社会福祉士」というのは、資格であって、職種ではありません。

 

それでは、社会福祉士の資格を持った人は、どのような場所で、どのような職の仕事をしているのでしょうか。公的機関では、市区役所、福祉事務所、児童相談所、身体障害者・知的障害者更生相談所に所属し、ケースワーカー、児童福祉司、身体障害者福祉司などの相談援助職員として、仕事にあたります。社会福祉施設では、生活相談員、児童指導員、母子指導員などとして働きます。社会福祉協議会では、福祉活動指導員、福祉活動専門員として、地域住民の福祉に関する相談を受けたり、福祉サービスの企画・実施にあたります。保健医療機関では、医療ソーシャルワーカーとしての仕事に従事します。また、シルバーサービス産業でも、利用者へのケアの質や提供品の質の向上をめざすために、近年では特に、社会福祉士の専門性が求められています。

 

このように、社会福祉士は、福祉分野において、幅広く活躍しているわけですが、社会福祉士に求められるのは、資格取得の事実だけでなく、むしろ、専門知識と専門技術の土台となる個人の人間性であると言えます。利用者を、ひとりの人として尊重して、人間は成長するという強い意志を持っていなければ、この仕事は勤まりません。そして、そういった土台の上に、専門知識、技術、一般教養、職業倫理を持ち合わせた人が、信頼される社会福祉士になれると言えるでしょう。

少子高齢化が叫ばれるようになってから、もう十数年が経ちます。日本は、現実的に、超高齢化の時代に突入しています。2015年には、総人口に占める65歳以上の人の割合が、約25%にもなると予想されています。そんな高齢化社会に対応して、寝たきりの高齢者や、障害を持った人が安心して介護を受けることができるよう、1987年に制定されたのが、介護の専門家、介護福祉士の国家資格制度です。

 

介護とは、身体および精神上の障害によって、日常生活を営む上で支障がある人を対象に、動作、家事、健康管理、社会活動を援助することを言います。入浴、排泄、食事、洗面、着替え、歩行などについて直接的な介護を行なう中心的な役割を担うのが介護福祉士です。ケアワーカーとも呼ばれています。

 

具体的な仕事としては、掃除、洗濯、調理などといった家事援助、入浴、排泄、着替えなどの身辺介助、薬の管理、病院への付き添いなどの健康管理、余暇活動参加などの社会活動援助などといったことが挙げられます。このように、単なる介護に関する技術ばかりでなく、調理、栄養学、心理学、医学一般、福祉など、あらゆる分野の知識も要求される仕事です。さらに、高齢者や障害児者が対象であるため、入浴や移動時などの介護では、体力や機敏な動作も要求される、かなりハードな仕事でもあります。また、要介護者の家族に対する、介護に関する助言なども、重要な仕事のひとつです。

 

福祉の現場では、様々な専門職の人々が、チームを組んで介護の仕事を担っています。その中で、介護福祉士は、介護援助の専門職として、施設と在宅の両分野にわたって仕事をする存在です。特に、在宅介護に関しては、介護保険制度の導入によって、「施設入所から在宅支援へ」という流れがある中で、今後、介護福祉士が活躍する場は増えていくものと思われます。

「ホームヘルパー」といえば、福祉の仕事の中でも、高齢者・障害者に接する介護の仕事の、エキスパート的存在です。ホームヘルパーの仕事は、高齢者や身体障害者の自宅、あるいは福祉施設で、身体介護サービスや家事援助サービスを提供するものです。介護保険制度の導入により、社会的にも注目度の高い仕事の一つになってきています。

 

ホームヘルパーが介助する人は、寝たきりや認知症などの高齢者から、肢体不自由者や重度の身体障害者、視覚・聴覚・言語・内部障害者まで、様々です。利用者の家庭を訪問し、身の回りの介護や家事を行ない、さらに、悩み事の相談やアドバイスなど、精神的なケアにも努めなければならない責任感を求められる仕事です。そして、利用者の生活の質(QOL)を高め、将来的にも安心して暮らせるよう援助し、さらに、要介護者と生活を共にする、家族の介護負担の軽減にも努めるという仕事です。

 

具体的な仕事の内容としては、次のようなことがあげられます。ただし、各家庭によって、その比重は異なります。

 

●身体介護…着替え、食事、入浴、排泄など
●家事援助…掃除、洗濯、買い物、調理など
●その他…身体介護の記録と保管、担当医・主治医・保健師との連絡、病院への通院介助、デイサービス施設への付き添いなど

 

 

ホームヘルパーとして働くために、法的資格は必要ありません。ただし、厚生労働省が定めた基準による、「ホームヘルパー養成研修」を修了している人を採用するケースが、圧倒的に多いようです。要請研修は、介護知識や技術などのホームヘルプサービスの質の向上を図るために実施されているものです。各都道府県で、1級から3級の認定を行っています。2級からの受講も可能です。入門コースである3級よりも、基本研修である2級の受講希望者がほとんどです。また、福祉の現場からも、2級以上を求められることがほとんどです。1級については、2級修了者が対象で、主任ヘルパーの養成が目的です。

 

ホームヘルパー養成研修2級課程では、受講資格は、性別・年齢不問です。都道府県・指定を受けた事業者が実施しており、講義58時間、演習42時間、実習30時間の計130時間のコースになっています。費用は、各実施機関によって異なります。

福祉の資格を取得したいと希望する人の多くが、ケアマネージャー(介護支援専門員)の資格取得を目指しています。

 

介護支援専門員はと、介護保険制度の制定によって、新しく誕生した専門職です。法律上や役所などの公的文書では、「介護支援専門員」となっていますが、現在は、「ケアマネージャー」と呼ばれるのが一般的なようです。ケアマネージャーは、介護保険制度を推進していく上で、要介護者や家族と介護サービスを提供する施設や業者とをつなぐ「橋渡し役」的な存在です。各人に合ったサービスを組み立てる、いわば、介護サービスのプランナーといえる役割を果たす仕事です。具体的な仕事の内容は、以下の通りです。

 

●市町村から委託を受けての訪問調査
●市町村や居宅サービス事業者、介護保険施設などとの連絡・調整
●介護サービス計画(ケアプラン)の作成

 

 

ケアマネージャーは、介護保険制度に精通している必要があります。また、医療や福祉の面での、様々なサービス内容を理解していることが求められます。例えば、サービス利用料は、要介護度のランクによって異なります。内容的にも、料金的にも、満足のいくサービスを受けてもらうためには、常に新しい、正しい情報を提供していかなければなりません。また、要介護者の権利の尊重、公平性、中立性、プライバシー保護の姿勢や、倫理観も常に問われます。ですから、責任が重く、ハードな仕事と言えます。

 

ケアマネージャーとして働くには、まず、実務研修受講試験を受ける必要があります。以下に挙げる、医療・保健・福祉分野の資格を一つ取得し、その後、実務経験を5年以上経てから、この受講試験を受けるのが一般的です。

 

:医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、管理栄養士、精神保健福祉士

 

この受講試験に合格すると、要介護認定、介護サービス計画などに関する演習や実習を含めた実務研修を受けることができます。そして、研修を修了してはじめて、ケアマネージャーの資格を取得することになります。

 

実際の現場では、今の職種を続けながら、ケアマネージャーとしても働く人、または、ケアマネージャーとしてのみ業務を行なう人など、人によって働き方はそれぞれです。事業所や施設の方針によっても、異なります。兼務すれば、仕事量が増え、負担が大きくなります。また、逆に、ケアマネージャーのみの仕事では、利用者との接点が希薄になりがちになってしまうという問題点も生じます。この資格を取得する人が増える中で、どのような形で資格を利用するかが、今後の課題になりそうです。

福祉の仕事と聞くと、高齢者や障害者に関わる仕事が中心であるというイメージがあります。その中でも、介護サービスの中心を担うのが、「介護職員」(寮母・寮父)です。寮母・寮父という呼び名は、厚生労働省の定めた職員の配置基準に基づく職名で、最近では、「ケアワーカー」、「介護職員」と呼ぶ福祉施設が増えています。

 

仕事の内容は、職場である社会福祉施設の種類によって異なります。主に、食事、入浴、排泄、衣服の着脱、移動など、生活全般における介助の他に、日誌の作成、各種福祉機器の管理、看護業務の補助、掃除などを行ないます。さらに、散歩や買い物を援助したり、誕生会やお花見などの行事や、レクリエーションを実施するのも大切な仕事の一つです。

 

「寮母」という呼び名から、女性の職場というイメージが強いかもしれません。しかし、最近は、男性が活躍する姿が目立ってきているようです。車椅子への乗り降りや、ベッドへの移動、体位変換など、力のいる仕事が多く、男性の福祉の分野への進出が、今後も伸びていくと予想されます。

 

寮母・寮父になるための資格要件は、特にはありません。また、学歴についても、必ずしも重要視されず、健康で熱意のある人なら、仕事に就くことができます。しかし、最近では、介護福祉士の国家資格を求めるケースも増えているようです。また、ホームヘルパー養成講座のような、介護についての知識や技術を求める施設も多くなってきています。介護福祉士の資格については、就職して、3年の実務経験で受験資格が得られ、国家試験に合格すれば、資格を取得することが可能です。高齢者福祉施設の寮母を目指すのであれば、ホームヘルパー2級以上を持っていると、有利であると言えるでしょう。

急速な高齢化にともない、お年寄りが、ちょっとした段差につまずいたり、浴室などで転んだりするといった、家庭内事故が、大きな問題となっています。そのため、住む人の体力の衰えや、障害に合わせた、住環境作りというものが、強く求められています。そんな中、注目されている福祉の仕事が、「福祉住環境コーディネーター」という職業です。

 

福祉住環境コーディネーターとは、家の構造に不便があって、お年寄りや障害のある人が、家の中で動くのに不自由したり、せっかくの福祉機器や介護道具が活用できなかったりといった不都合を解消するために、医療や福祉、建築などの専門家と連携して、個々のニーズにあった住宅の整備を提案していくという仕事を担っています。

 

福祉住環境コーディネーターは、住宅改造についての相談を受けると、それぞれの家庭に足を運び、障害者の障害の程度を理解し、ベッドの位置から、廊下と部屋の段差、トイレや浴室の状態まで、ありとあらゆる側面から、日常生活に不便なところを把握します。また、本人や家族との話し合いを通じて、最適な住環境づくりのための改造プランを検討し、提案していきます。

 

また、実際に、工務店、リフォーム会社、福祉用具の販売店などと連絡を取り合って、費用を明らかにすることも必要です。あるいは、福祉の施策や、補助金などについての情報提供も行ないます。このように、福祉住環境コーディネーターの仕事は多岐にわたります。そのため、福祉・保健・医療・建築における幅広い知識が求められます。

 

福祉住環境コーディネーターには、1級、2級、3級があり、東京商工会議所によって、検定制度が設けられています。受験資格は、学歴・年齢・性別・国籍に制限はなく、3級に合格していなくても、2級の試験を受けることが可能です。ただし、1級については、2級合格者が受験対象となっています。

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